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2018年9月29日 (土)

後楽園ホール・9月28日

 

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“ようがす、指でもなんでも切って下せえ!”

 

 

 

前日とはうって変わって、カァーッとした日差しが眩しくて、

それならってことで、今年最後のつもりの短パン出動だったんだけど、

街中を歩いても気持ち良かったなあ……。

 

 

 

昨日はホールに行く前にある業界関係者とちょっと話しさせて貰って、

沢山の人が集まってる組織の意思決定っていうのは、

守られるべき正義や真っ当な善悪感だけに基づいて為される訳でなくて、

構成員其々の功利が微妙に絡むもんで実にとってもややっこしいってことで……。

 

 

 

この日のボクシングは昨日に引き続いて、

東日本新人王トーナメントの準決勝戦の二日目。

 

 

① 岡田真虎君(JBS)×伊佐春輔君(新田)……Mm

4勝(2KO)2敗のサウスポー、24歳・岡山県と、

6勝(1KO)1敗の20歳・神奈川県。

 

優勝候補の二人で、戦績的には伊佐君なんだけど、

岡田君の方がボクシングの幅が広いもんで……。

 

<1R>

岡田君がトリッキーな動きからの一瞬飛び込み戦法を満開にしたスタートで、

相手のフットワークの巧みさに伊佐君がちょっと惑わされたような感じで、

自分のタイミングを計りかねてるようだったんだわ。

 

お互いに大きなヒッティングは無かったんだけど、

残り1分19秒での岡田君の左ストレートが唯一の印象点だったかなあ。

 

<2R>

伊佐君はどこかで踏ん切りを付けて、距離を詰めての手数アップが要るんだけど、

髪の毛とシューズがほぼ同色の真っ黄色の岡田君は、

何だか南米アマゾンの怪鳥のようにあちこちを跳ね回って、

中々的を絞らせてなかったんだよね。

 

終盤に掛けてやっとのことで伊佐君も前詰めを厳しくしていってたんだけど、

まだまだ十分とは言えなくて、このままだと、

ラウンドが進むごとに1ポイントづつロスしそうな感じだったんだわ。

 

<3R>

気分良く試合が出来てたせいか岡田君がちょっとカッコ付け過ぎ状態になって、

相手を舐めたような嫌味な動きが目立ってきて結局、

この日の岡田君は一瞬の突っ込み一発オンリーの当て逃げ系に終始してたし、

一方の伊佐君もまだまだ踏ん切りが良くないままで、

ちょっとカッタルくなってしまったもんで、一旦の休憩タイム。

 

 

後で確かめたら岡田君から見て39-38、38ー38×2の1-0ドローで、

優勢点の関係で岡田君が決勝戦進出になったんだわ。

 

 

 

② 河野勇太君(SRS)×大橋波月君(10count)……LF

3勝4敗(2KO)の25歳・東京都と、4勝(3KO)2敗(2KO)の20歳・神奈川県。

 

自分の中では大橋君が圧倒的に勝利するって実は思ってたんだけどね。

 

<1R>

勢いが付いた時の大橋君はかなり凄いんだけど、この日は中々火が付かなくて、

辛うじて相手の手数不足に助けられてたって感じだったなあ。

 

<2R>

少し距離が縮まってきた辺りから、大橋君がやり易そうにし始めて、

若干勢いを増した中でのショートブローや左ボディも良くなってきたんだわ。

 

河野君の方も少し吹っ切れた感じの手数アップで、

やっと試合らしくなってきたね。

 

<3R>

アレッと思ったら何だか大橋君が打ち疲れ始めたような感じで、

河野君の頑張りの方が目立ってきたんだけど、残念ながら、

途中から先手を取り切れないままに大橋君を休ませてしまってるような感じで、

残り1分からの打ち合いにも後れを取ってしまってたんだわ。

 

<4R>

まずは河野君がガンガン仕掛けて始まった最終ラウンドは、

それに応えた大橋君の踏ん張り直しで一気にヒートアップして、

お互いにきちんとしたヒッティングは少なかったんだけど、

終盤に掛けては狂熱の意地の見せ合いって感じの盛り上がりで、

そういうのが出来るなら最初からやってよって感じの終了ゴング。

 

 

ってことで自分は39-37で辛うじて大橋君だったんだけど結局、

38-38×3ってことで全く0-0ドローだったんだわ。

 

注目された3個の優勢点の内の2個が河野君に流れて決勝進出が決まった途端、    

場内からはエエーッって大きな不満の声が上がったんだけど、

この日の大橋君のデキだと、それも仕方ないかなあって感じだったんだよね。

 

 

試合後に偶然SRSジムの坂本会長が近くに来られたもんで、

オメデトゴザイマスを伝えたんだけど、そんなに喜んで無かったなあ。

 

 

 

③ 具志堅広大君(T&H)×太田憲人君(ワタナベ)……F

3勝(3KO)3敗(1KO)の25歳・沖縄県と、

3勝(1KO)0敗のサウスポー、29歳・東京都。

 

ここは太田君の圧勝を予想してたんだけどね。

 

<1R>

小さい方の具志堅君が強いプレスからの仕掛けが早くて、

とにかく太田君は決定的にジャブが少なかったし、

下がり下がりやサークリングが目立って見栄えが良くなかったんだわ。

 

<2R>

リズム感が合わないのか、太田君はまだやり難そうにししてて、

きっかけを相手に求め過ぎる待ちボクシングが続いてて、

ちょっとなあって感じが強くなってしまったモンでまたもやの休憩タイムゲット。

 

 

評価は色々だったみたいで結局、

40-36、39-38、38-39ってことで太田君の2-1勝ちだったんだけど、

このスコアのバラケ方もちょっと凄かったんだわさ。

 

 

 

④ 碇瑠偉君(厚木ワタナベ)×大平智成君(新日本カスガ)

                           ………4R

3勝0敗2分の19歳・神奈川県と、1勝(1KO)3敗(3KO)1敗の36歳・長野県。

 

17歳もの年齢差のある引退間近の相手に碇君が取りこぼす筈はないよね。

 

<1R>

大平君はガード固めながらにじり寄って、取り付いてからが勝負って、

たまに見掛けるある種典型的なボクシングスタイルで、

これならスピードのある碇君なら余裕の展開だろうなって見てたんだけど、

もっと遠くで仕掛けるべき碇君も変な付き合い方をしてしまって、

結局は二人で実に実に中途半端な試合を始めてしまったんだわ。

 

C級ボクサーにはたった4ラウンドしか与えられてないんだから、

先を見据えてなんて余裕をかますのはとんでもないことで、

第1ラウンドの3分間を大事に考えないボクサーは絶対ダメだと思う訳で、

ってことで3試合連続の席外しで……。

 

結局、40-36×3ってことで碇君がパーフェクト3-0勝ちしたんだけどね。

 

 

前日はSF級までがとっても盛り上がったし、

レベルの高い試合が続いたんだけど、

残念ながらこの日は何だか全く心が躍らないやり取りが続いたんだよね。

 

 

 

⑤ 花森成吾君(JBS)×石川春樹君(RK蒲田)……B

3勝(1KO)2敗(1KO)の20歳・東京都と、4勝(4KO)0敗の19歳・東京都。

 

どう考えても石川君が圧倒するでしょってことで……。

 

<1R>

やっとこさちゃんとした試合になってきて、

お互いに実にテキパキとした立ち上がりを見せたんだけど、

若干上背のある花森君の方が積極的に仕掛けていって、

いいジャブを打ち出してたし、打ち終わりの配慮も出来てて、

実にまあ気持ち良さそうに攻め立てていってたんだわ。

 

思いの外、花森君が善戦するままに石川君が沈黙してる時間が長くて、

このまま無策のままに相手に1ポイントを禅譲するつもりかって、

そう思い始めた残り7秒、それまで打ち出しのタイミングを計ってたってことか、

石川君が溜めに溜めてたような右ストレートを鋭く一閃。

 

それをきっかけにして一気にスピードを上げての猛攻撃で、

花森君の気持ちと動きを封じ込めてたんだわ。

 

で、ポイントの振り分けがハッキリ別れそうだったんだけど、

自分としては終盤までの総ヒット数で花森君だったんだよね。

 

<2R>

花森君がリセットしての積極ショート連打で再度の攻勢を取ったんだけど、

一発一発の鋭さは石川君が圧倒してるもんで、

前の回と同様にどこかできっかけを掴めば即の逆転も見えそうで、

花森君としてはとにかく手を休めないことだったんだわ。

 

1分過ぎ、花森君の手数が減って打ち出しが緩んできたところを見計らって、

案の定、石川君が一気の攻勢に転じて、その瞬発力はやっぱり圧倒的で、

最後の右ストレートを打ち込んだのは残り18秒のところだったんだけど、

直撃された花森君が赤コーナーポストまで飛ばされてしまってのダウン。

 

何とか何とかって花森君が立ち上がりはしたんだけど、

レフェリーが続行無理を判断したのと同時に陣営からもタオルが投げ入れられて、

2分49秒で石川君のTKO勝ちだったんだわ。

 

 

 

⑥ 井田洋介君(石川)×小川将太君(UNITED)……SB

4勝(1KO)0敗2分の30歳・東京都と、1勝(1KO)1敗(1KO)1分の21歳・東京都。

 

この試合は井田君が勝つだろうなあって思ってたんだけど、

その井田君が棄権してしまって小川君の不戦勝だったんだわ。

 

 

 

自分の中ではここからの2試合がこの日のダブルメインイベントだったんだよね。

 

 

⑦ 中村由樹君(輪島S)×松澤拳君(宮田)・・・・・Fe

3勝(2KO)1敗の19歳・東京都と、

5勝(3KO)2敗(2KO)のサウスポー、28歳・千葉県。

 

松澤君も強打の持ち主なんだけど、

スピード感では圧倒的に中村君だからなあ……。

 

<1R>

松澤君が右手を大きく前に置いて、より長い距離を作り出そうとしてて、

中村君の踏み込みを阻止しようとしてて、

さあ中村君、この長い距離をどうするのかって見てたら開始1分02秒、

ガサガサッて体を揺さぶりながら中村君が瞬発系踏み込みからの一発で、

一瞬バランスを崩してしまった松澤君が右手で西ロープを掴んで凌ごうとして、

間髪を入れない中村君の鬼追撃だっていうのにその右手を放さなくて、

ガードする為に右手を放せばそのまま倒れ込んでしまいそうだったからみたいで、

でも結局は空いた所に更に被弾を重ねてしまってたんだわ。

 

残り40秒、松澤君が右にスイッチしたんだけど殆ど何の意味も無いまま直ぐ戻して、

何とか立て直そうとしてたんだけど、序盤のような長い間合いが維持できなくなって、

又もや体勢を崩して北西ポストに追い立てられてしまった残り6秒、

左右のショートフックを連続的に打ち込まれてしまったダウン。

 

立ち上がったところでラウンド終了ゴングが鳴ったんだけど、

コーナーに戻る際の松澤君の消耗の進み方は半端じゃなかったんだよね。

 

<2R>

前の回の松澤君は自分的には何となく彼らしくなくて、

そもそも動きが今一だったし気持ちでも負けてたような気がしてて、

ちゃんと練習したのかっていう印象さえ受けたんだけど、

打ち出してるそのパンチはストロークが大きくてカウンターを狙われ易いし、

そもそも打ち出しに全くスピード感が感じられないままだったんだわ。

 

最早時間の問題かなあって思われた1分20秒過ぎの西ロープ前、

決めに掛かった中村君の勢いを松澤君が止めるのはとても無理そうで、

西ロープ前でドカボカやられてしまったところで、

レフェリーストップと陣営からのタオルインとがほぼ同時だったんだよね。

 

ってことで1分24秒で中村君がTKO勝ちしたんだけど、

11月4日の決勝戦は面白いことになりそうなんだわ。

 

 

 

⑧ 関島優作君(KG大和)×林慶太君(10count)×……SFe

5勝(3KO)1敗の21歳・神奈川県と、

4勝(3KO)3敗(3KO)の21歳・東京都。

 

関島君はデビュー戦で0-3負けしてしまってから立て直しての5連勝中で、

関島君を破ったそのボクサーは2戦目で1-2負けして以来、

もう2年近く試合をしてないってことで、ボクサーにも色々あるんだよね。

 

<1R>

二人共、実にいい感じで始めてたんだけど、

開始1分まで左ジャブをより効果的に使ってたのは林君の方で、

関島君の方は左をフック系で使うことが多くて、

これも結構相手の出鼻を挫くことに成功してたんだわ。

 

甲乙付け難い攻防が続いてた残り1分13秒、

関島君の右ストレートからの左フックが綺麗にヒットしてファーストポイント・ゲット。

 

林君の方も相手に的を絞らせないように頭の位置に気を付けていたし、

上体を細かく動かしてたんだけどね。

 

<2R>

林君のボクシングはあくまで真面目な正統派で、

だから一方では相手の意表を突くような工夫が足りてないとも言える訳で、

もう少し色々な緩急が欲しいところだったんだけど、

早くもそれを見極めたような関島君の動きの方が一気にこなれてきて、

この回の最初のコンタクトが終わると林さんの顔面がかなり赤味を帯びてたし、

薄く鼻血にも見舞われてたんだわ。

 

残り45秒で右が相打ちになった際に思わずヨロッとしてたのは林君の方で、

更に残り11秒での関島君の一瞬の右フックのカウンターショットは実に絶妙で、

このラウンドは結局、10ー8:5ほどもの大差が付いてしまったんだわ。

 

<3R>

本気を出してフルスロットルになった時の関島君はやっぱり相当強くて、

ムキになって歯を食いしばってって感じではないまま、

普通の顔をして冷酷に飛ばしていくのが却って物凄いモノを感じさせる訳で、

一気に林君を北西ポストから北ロープに追い立ていってた開始45秒、

左右のショットをストレート系とフック系を組み合わせての連続攻撃で、

林君の反撃の可能性を摘んでしまったところでレフェリーストップエンドで、

0分48秒でのTKO勝ちだったんだわ。

 

 

試合直後に関島君と言葉を交わしたんだけど、

関島君と林君は友達に近い関係にあるってことで、

そういうのを吹っ切って殴り合うボクサーの凄さにシンミリしてしまったし、

一つ前の試合の中村由樹君とはお互いのボクシング・スタイルが大好きってことで、

二人で何ラウンドに倒したかを確認し合ってたんだわ。

 

 

更に試合前のことなんだけど、偶然関島君の親父さんトレから、

「優作の母親です。」 って言い方で母上を紹介されたもんで、

一瞬、関島トレの正妻さんは別におられるのかって惑わされてしまったんだわ。

 

その母上はまるで何処かの絵画展からの帰りに寄ったようなイデタチをされてて、

一緒に優作君の弟君も紹介されたんだけど、

この一家はみんな実に整った顔と姿をしてるんだわ。

 

 

 

⑨ 齋藤眞之助君(石川)×橘ジョージ君(協栄)……L

3勝(2KO)2敗(2KO)の23歳・山梨県と、4勝(1KO)3敗の23歳・新潟県。

 

最近は冷静な戦い方が出来るようになって左ボディが抜群の橘君だなあ。

 

色んな人達と話をしてたもんで4Rしか見てなかったんだけど、

何だか橘君も思ってた以上にヘロヘロになってて、

それでも上下への打ち分けの巧みさで、

橘君が優勢かなあって思いながらの終了ゴング。

 

スコアの発表を聞いてたら、39-37×3ってことで、

やっぱり橘君が3-0勝ちだったんだわ。

 

 

 

⑩ 吉村鉄也君(KG大和)×西川宏次郎君(中屋)……W 

4勝(3KO)2敗(2KO)1分の26歳・神奈川県と、3勝(1KO)0敗の30歳・愛知県。

 

元々層の薄い階級なんだけど、

ここは荒木祐司君を3-0で下した吉村君かなあ……。

 

この試合も1Rをスルーして2Rからだったんだわ。

 

<2R>

二人共、結構飛ばす飛ばすで最初の50秒までは西川君だったんだけど、

吉村君の右一発で攻守が交代して、

また1分30秒からは西川君の逆襲が目立って、

相手をロープに詰めてのショート連打が光ってて、

吉村君はロープを背負わされる時間が長くて見栄えが悪かったんだよね。

 

<3R>

頭をくっ付け合ってのショート戦になると、

吉村君もヘコタレナイ手数ではあったんだけど、

西川君の回転力の方が圧倒的に鋭かったんだよね。

 

<4R>

お互いにそこそこ当て合ってるのに殆ど全くグラッともしなくて、

この階級の割には二人共、パンチが軽いのかなあって思いながらだったんだけど、

それでも最後までこの二人はトロトロになるってことがなくて偉かったんだわ。

 

結局、39-37×3ってことで西川君の3-0勝ちだったんだけど、

とっても妥当な採点だったみたいね。

 

 

 

⑪ ワチュク・ナァツ君(マーベラス)×岩井優典君(一力)……M

2勝(1KO)0敗1分の21歳・埼玉県と、2勝(2KO)1敗の31歳・東京都。

 

微妙な力関係だと思うんだけど、ここは大家拓見君に2-0勝ちしたナァツ君、

ってそう思ってたんだけど、岩井君が棄権してしまったんだよね。

 

 

 

全部の試合を見終えて帰りかけた時が、

ドーム野球でサヨナラホームランが出た時と重なって、

そりゃもう大急ぎの早帰りだったんだよね。

 

 

 

【本日のベスト3ボクサー】

① 関島優作君

② 中村由樹君

③ 石川春樹君

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