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2017年9月 3日 (日)

後楽園ホール・9月2日

 

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“カップ猫”

 

 

 

珍しく天気予報が当たって、午前中の雨模様が午後には一転しての強い日差しで、

ドームコンサート待ちの人の列もまだまだ夏姿だったね。

 

少し離れたところをカツカツ歩いてる女性がいてね、

小さめの白いコットンレースのブラウスは肩に穴が開いてる最近の流行で、

ボトムは淡いブルーをしたシルクデニム調のユッタリした幅広パンツでね、

少し長めの髪を後ろでシュシュで結んでて、

背中をピンって伸ばしてカツカツッて感じでとっても颯爽と歩いてたんだわ。

 

 

ホールに入ってすぐ、瀬端さんの奥様と御嬢さん、

それと団会長の奥様と御嬢さんにそれぞれ御挨拶して、

愚にもつかない話をして笑われながら試合開始。

 

 

 

① 田中雅波君(北澤)×中島珠旗君(三迫)……Mm 4R

デビュー戦の30歳・神奈川県と、0勝3敗(1KO)の21歳・東京都。

 

幾らなんでも0勝の4連敗は流石に拙くて中島君、

相当のプレッシャーだったと思ったなあ。

 

この日は合宿帰りの小原佳太さんや永田大士さん、岩井大さん、鈴木悠介さん、

吉野修一郎さん、それに三浦仁君や長谷川守里君達もゴッソリ応援に来てて、

プレッシャーは更に強かったと思った訳で……。

 

<1R>

中島君はまずは良質なプレスで始めてたし、いいジャブを打ってたなあ。

 

4~5㎝上背優位な田中君はかなり肩に力が入り過ぎたいきなり系で、

そんなに大きく殴り掛かっても当たるもんじゃないんだよね。

 

中島君は右を打ちに行った時に左ガードがとっても甘くなるんだけど、

デビュー戦の田中君にはそこを狙うところまでの余裕が無かったし、

ラウンドを通して中島君に危機が迫るって場面が全く無くて、

彼の表情には今日は勝てそうだなっていう自信が徐々に浮き出てきてたんだわ。

 

<2R>

行けそうだって思った瞬間こそが危ないって自分は思ってるんだけど、

猛獣のように襲い掛かって来る田中君を適当にあしらおうとすると中島君、

接近戦命って感じの田中君に巻き込まれてしまうから、

常に距離の意識を保つことがとっても大切なんだわ。

 

田中君の一段落をきっかけに中島君が形のいい反撃を見せてて、

実にいい感じで攻め立ててたんだけど残り50秒、

アレッて感じで田中君のガッツン右ストレートを貰ってしまったんだわ。

 

この時中島君は一瞬クラッしてしまって、

折角積み上げてきたポイント獲得権を相手方に渡してしまったんだわ。

 

<3R>

若干田中君の息が上がってきた中、

中島君もすぐ頭を下げてしまういつもの悪い癖が出始めて、

それは基本的には怖がりなことの裏返しだと思うんだけど、

ジャブを出しながら下を向いて目線を切ってしまうのは最悪なんだよね。

 

で、このラウンドも前の回と全く同じようなパターンの再現で、

折角中島君がいい感じで始めてたのに開始45秒、

攻め込んでる最中に田中君の右フックを貰ってしまって、

またもやクラッとしてしまったんだわ。

 

で、今度こそって感じで田中君が一気に飛ばしていったんだけど、

終始手数では上回りながらも、

立て直した中島君に形の良くない打たれ方をされることが続いたんだよね。

 

それにしても中島君、一発貰うと途端にヘナッて感じになるのを改善しないとね。

 

<4R>

微妙なスコアでどちらにも勝つチャンスがあったんだけど、

最初の1分半を飛ばし切ったのは4連敗は絶対嫌だって感じの中島君で、

少し後ろの方からの小原佳太さんの応援アドバイスにも力が入ってたんだわ。

 

田中君も必死の踏ん張りではあったんだけど、

最後は試合経験の若干の差が出たみたいで、

お互いにハァーハァーの中、最後の最後まで手を止めなかったのは中島君で、

ヒットの正確さでも上回っての終了ゴング。

 

ってことで自分は39-37で中島君だったんだけど結局、

39-37、39-38、38-38ってことで中島君の2-0勝ちだったんだわ。

 

 

近くで見てた久保マネはとっても喜びながらも、

途中2度ほど中島君が大きく貰って揺らいでたもんで、

「心臓に悪いわあ。」 って言ってたなあ……。

 

 

 

② 辻本純平君(帝拳)×為田真生君(REBOOT)……SW 4R

0勝1敗(1KO)1分の23歳・長崎県と、1勝3敗(2KO)2分の31歳・東京都。

 

同じく初勝利目指し組の辻本君の登場で、

彼は風貌とか体付きだけなら相当なボクサーに見えるんだけど、

そもそもどういう風に体を使ったらいいのかとか、

どの距離でどういうパンチを打てばいいのかが今一解ってなくて、

つまりどういうボクシングがしたいのかが定まってないような感じなんだよね。

 

為田君のサポートに前日の試合でもセコンドに入ってた富岡哲也君が付いてて、

自分の隣に弟の達也君が座って声の限りで応援してたんだわ。

 

<1R>

為田君も含めて二人共、実はそれほど巧くないんだけど、

SW級ってことになるとやっぱりそれなりの迫力はあるんだよね。

 

この日も長いリーチを生かし切れてない辻本君が為田君のプレスに甘んじてて、

いきなりやり難い距離を強いられてしまってたんだよね。

 

辻本君としてはまずはシッカリしたジャブを身に付けるべきなんじゃないかなあ。

 

<2R>

自ら気持ちを立て直したか、セコンドに檄を飛ばされたか辻本君、

このラウンドは初っ端からの積極手数アップで、

立ち遅れてしまった為田君に右ストレートを続けざまにヒットヒットさせて、

先手を封じられた為田君は立て直せないままにポイントロス。

 

<3R>

辻本君は初勝利目指して飛ばし切れるのか、

為田君はまず気持ちを立て直さないとって感じだったんだけど、

ラウンド半分頃までは辻本君のストレート系のヒットが目立ってたんだけど、

その後はお互い代わり番こにハードヒットを交換してたんだわ。

 

それでも全体を通してキッチリしてたのは辻本君の方で、

為田君には消耗の進行が見え隠れしてたんだよね。

 

<4R>

スコアが拮抗してたのは充分理解してたみたいで、

二人共、力を振り絞って打ち合ってたんだけど決定的場面を作れなくて、

もう少し見栄えっていうものとか、ラウンドの終わりに飛ばしまくるとか、

要するに二人共アピール度に欠けたままの終了ゴング。

 

 

ってことで自分は38-38だったんだけど結局、39-37×2、38-38って事で、

その判断の差は多分4Rの評価で分かれたと思うんだけど、

いずれにして僅差で辻本君の2-0で初勝利だったんだわ。

 

 

 

③ 冨田真君(HEIWA)×細谷大希君(角海老)……LF 6R

5勝5敗2分のサウスポー、23歳。愛知県と、

4勝(1KO)1敗2分の22歳・東京都。

 

細谷君は9ヶ月振りの試合で、特に優績のB級は試合が組み難くて、

この日は中日本からの招聘ボクサーが相手なんだよね。

 

冨田君は久々登場の左右対称漢字名ボクサー。

 

<1R>

基本的なプレスは細谷君だったんだけど、お互い結構慎重な立ち上がりで、

警戒する余りかちょっと見過ぎじゃないのかって思ってた1分27秒、

北ロープ前で細谷君の右ショットからの返し打った左フックが直撃ヒット。

 

結果的には冨田君は殆どダメージを引きずることなくリスタートしたんだけど、

とにかく細谷君が大きくアドバンテージを取ってのダウンゲットだったんだわ。

 

<2R>

冨田君はひたすら近い所でやりたがるボクサーで、

一瞬の飛び込みからのガンガンショート狙い一本槍で、

細谷君としては相手が踏み込んで来る寸前を狙いたいところだったんだけど、

何となく冨田君の動きを把握できたみたいで、

早いジャブの他、いきなりの右ストレートの打ち込みが実に正確だったんだわ。

 

いずれにしても冨田君の攻撃は余りにも単調過ぎで、

もう少し遠目からの仕掛けも混ぜ込んでいかないと見切られるよなあ。

 

<3R>

細谷君にはある種の余裕が見えてきて、

それにつれ冨田君の左目下が腫れていったんだわ。

 

<4R>

細谷君としてはもう少し頭の位置に配慮すべきで、

それは被弾を回避し、バッティングを避ける意味でも大切なんだよね。

 

冨田君にしてみれば更なる詰め詰めしか無かったんだけど、

巧いこと捌いた細谷君の残り45秒からのヒットヒットでまたしてもポイントロス。

 

<5R>

これしかないって感じで冨田君がガンガン頭から突っ込んでくるようになって、

そこからコツコツ相手を嫌がらせるような攻撃をし続けて、

今度こそ流れを取り戻しそうな感じだったんだけど、

残り45秒からの細谷君の左ボディを起点にしての激しい攻め込みに晒されて、

結局またしても思いが叶わなかったんだわ。

 

<6R>

もう殆ど冨田君にはポイントを取りようが無くなってしまって、

一発に懸けようともパンチ力そのものが全くないもんで、

ついに全ての道が閉ざされてしまったままの終了ゴング。

 

 

ってことで自分は60-53だったんだけど結局、

60-53、60-54、60-55の圧倒的スコアで細谷君の3-0勝ち。

 

 

この試合は角海老ジム側としては終始殆ど安心して見ていられた試合で、

すぐ近くにおられた鈴木会長もいつもの大声が全く不要だったんだよね。

 

いい試合をしたねって細谷君に声を掛けたら、「全然ダメです。」 って返してきて、

阿部トレも殆ど同じような答えだったんだけど、

それは必ずしも倒し切れなかったことに対する反省では多分無くて、

攻撃のコンビネーションのこととか、ディフェンスに関することだとか、

とにかく予めのテーマをこなし切れなかった事に対する反省のようで、

その何かについてのトレーナーとボクサーの見解が一緒だったのは頼もしくて、

多分細谷君はこの先もっともっと強くなるって思ったんだよね。

 

 

 

④ 堀池雄大君(帝拳)×澤田京介さん(JBS)……B 8R

12勝(3KO)5敗(2KO)3分の32歳・静岡県と、

7勝(4KO)2敗(1KO)1分のランク15位、29歳・北海道。

 

堀池君は2012年の全日本新人王だし、キャリアも倍違うんだけど、

最近の伸び悩みは根が深いみたいで、勝負の行方を予想するとすれば、

益々勢いが増すと同時に冷静なボクシングが身に付いてきた澤田さんだね。

 

<1R>

堀池君が若干プレスを掛けながら始めてたんだけど、

実際の仕掛けが早かったのは澤田さんで、

繋ぎのパンチを上手に使いながら自らのリズムを整えてたんだわ。

 

やっぱりこの日も堀池君は安易に決め打ちし過ぎる傾向が強かったなあ。

 

<2R>

堀池君のいきなりの粗っぽいイッセノセが目立ってた中、

澤田さんは常にきちんとしたジャブから組み立てて、

そこからとっても丁寧な展開を繰り広げて、

相手のシンプルボクシングを掻い潜ってポイントを拾いまくってたんだわ。

 

堀池君は途中から相手待ちボクシングに転換させて、

澤田さんが打ちこんで来るところに合わせ打とうとしてたんだけど、

そればっかりになってしまってまたもやシンプル系に突入してしまったんだわ。

 

あとはもう不用意な一発さえ貰わなければ澤田さんの勝ちは明白の明白で、

二人の間には思いの外のクオリティ差が出てきてしまったんだわ。

 

ってことで席を外したら通路近くで阿部麗也さんと一緒にいた

あるジムのマネジャーが 「次の回辺りでヤバイですね。」 って言ってたんだけど、

ホントにその通りになってしまって、

3R、澤田さんが一度ダウンゲットした後の1分46秒でのTKOエンドだったってね。

 

 

この試合の直後、大阪のボクサーが公務執行妨害で逮捕されたって聞かされて、

ちょっと前にも同じような事件があったけど、

元々あっちの方のジムはこういう低レベルのチンピラ系事件が多くて、

そろそろあのジムの会長もヤバイんじゃなかって情報もあるし、

悪徳系のいい加減なジムトップが多いことの証左みたいなものだと思ったなあ。

 

 

 

⑤ 藤原陽介さん(ドリーム)×中野敬太君(KG大和)

                          ………SB 8R

16勝(4KO)5敗(2KO)のランク9位、30歳・島根県と、

14勝(4KO)11敗(1KO)6分の32歳・福岡県。

 

この試合は藤原さんの粘り勝ちを予想してたんだけどね……。

 

<1R>

お互いに持ち前の鋭いジャブから始めてて、

その後のワンツーは適度にヒットし合ってほぼ互角だったんだけど、

当たりの強さでは藤原さんの方が勝(まさ)ってて、

中野君の顔面が早くも赤くなってたんだわ。

 

それでも藤原さんにとっては中野君のリーチの長さと懐の深さは、

そこそこの障壁のようだったんだわ。

 

<2R>

スタンスを広く取って腰を引き気味にしたところからの中野君のショットは、

大きな効果を上げ切れなかったんだけど、

そうこうしてるうちに気が付けば藤原さんの顔面もそこそこ赤くなってて、

接近してのショートの回転力では藤原さんが上回ってたんだけど、

残り40秒での中野君の右ストレートもそこそこの当たりだったんだわ。

 

ただ惜しむらくは中野君のパンチは体が伸び切ったところでが多くて、

威力的にも今一の手打ち系に見えてしまったんだよね。

 

<3R>

お互いに必殺系ではないから細かい手数の当てっこ競争なんだけど、

中野君にはもう少しの上下打ち分けが欲しかったところで、

30秒過ぎからの藤原さんの手数アップの方が目立ってたし、

詰まったところでのヒッティングの見栄えも一歩先を行かれてたんだわ。

 

それでも残り1分20秒辺りでの中野君のショートコンビもとっても美しくて、

お互い、まだまだ予断を許さなかったんだよね。

 

<4R>

中野君が更に前詰めを厳しくしていったんだけど、

藤原君は左手の使い方が巧くて、踏み込みの自由を中野君に与えてなくて、

フック系のパンチを色んな角度で打ち込んでて見栄えが良かったんだよね。

 

中野君の打ち下ろし気味の右ストレートも精度が高かったんだけど、

そこから左の返しが打ててないことが多かったし、

右フックの軌道も見極めやすい角度のことが多かったんだよね。

 

<5R>

試合前半でポイント的に後れを取った中野君がどうするかってことで、

攻撃に変化を持たせるのか、スピードと手数をアップさせるのかって、

興味津々で見てたんだけど、この回は結構中野君が踏ん張って、

左ガードが下がることが多くなった藤原さんを最後まで緩めず攻め立てて、

途中で左目上をヒットカットされはしたんだけど、

大きな有効ヒットは無かったけど、明らかに手数勝ちしてたんだわ。

 

<6R>

少し消耗が見えてきた藤原さんに対して中野君が初っ端から攻め立てて、

距離を取りたがって引き気味になってた藤原さんを追い立て追い立てして、

1分30秒過ぎには多少の反撃は喰らってたけど、

最後まで手数落ちすることなく頑張り通してたんだわ。

 

<7R>

細かいやり取りに終始しててお互い、劇的場面はおろか山場さえ作れないままで、

優劣の付け難い展開で終わったんだけど、

ここを更に踏ん張れなかった中野君には痛恨で、

休みたがってた藤原さんの息を吹き返させてたんだよなあ。

 

<8R>

微妙なスコアの中での最終ラウンドは例の如く気持ちの見せ合いだったんだけど、

最後までしっかり打ってたのは中野君の方で、

藤原さんのパンチはその多くが流れるようになってしまってたんだわ。

 

ラウンド序盤の中野君の飛ばした分を1分30秒、

藤原さんの右ストレートがチャラにして、

残り1分からはそれこそ根性ボクシングって感じだったんだけど、

やっぱり最後までシッカリ感が残ってたのは中野君の方だったんだわ。

 

 

試合途中途中での中野君の打たれ方の形が悪かったことが影響してか、

自分のスコアは77-75で藤原さんだったんだけど結局、

77-75、77-76、76-76ってことで、

辛うじて藤原さんがランキングを死守したんだわ。

 

 

試合後大分経ってからこの後の試合を観戦してた中野君とバッタリで、

彼とユックリ言葉を交わしたことは今までなかったんだけど、

目が合った際に会釈してくれたもんでちょっと二人で反省会だったんだわ。

 

当てた時と当てられた際の見栄えっていう点と、距離に関して話したんだけど、

自分は見当を外してなかったかなあ……。

 

 

 

⑥ 中澤奨さん(大阪帝拳)×日野僚君(川崎新田)

                        ………Fe 8R

10勝(4KO)1敗(1KO)のランク11位、24歳・大阪府と、

10勝(6KO)1敗1分のサウスポー、26歳・神奈川県。

 

どういう訳か中澤さんは相当強いっていうイメージが自分の中に固まってて、

日野さんはシンドイんじゃないかって思ってたんだけど、

これがまあ中澤さんは結局全然巧くも強くも無くて、

ごく普通の不器用なA級ボクサー程度にしか見えなかったんだわ。

 

自分の隣に日野君の応援で古橋岳也さんが座ったんだけど、

彼の人懐っこい笑顔が自分は大好きなもんで、

色んなバカ話しをして遊んでいよいよ始まり始まり……。

 

<1R>

日野さんと戦ったボクサーがいつも言うのはそのやり難さで、

彼は人柄的にも独特のモノを持ってるんだけど、

それがボクシングにも出るみたいで、

明らかに他人とは違ったリズムとタイミングを持ってるんだけど、

中澤さんもいきなりそれを感じさせられたみたいだったなあ。

 

最初のヒットは中澤さんだったんだけど、

その後の1分27秒、日野君の被せ打ち右フックでチャラにされて、

残り1分からは巧妙な上下打ち分けに翻弄されてたみたいだったんだわ。

 

まだ始まったばかりだったんだけど中澤さんは攻めが単調過ぎてたね。

 

<2R>

開始55秒の南ロープ前、中澤さんが右を打ってきたところに日野さん、

またもやの右フックを被せ打って幸先のいいダウンゲット。

 

中澤さんがバランスを崩しての単なる両手着きだったもんでダメージは無くて、

「効いてないから気を付けろ!」 って声を飛ばしたのは横にいた古橋さんで、

その声に頷いた日野君が冷静なリスタートで、

残り54秒にも左ストレートを直撃させて大きく流れを掴んだんだわ。

 

中澤さんの顔面は既にかなり赤くなってたんだけど、

日野君陣営からは調子に乗って行くなって声が飛びまくってたんだわ。

 

<3R>

ひたすら当てたがってたのは中澤さんの方で、

それもタイミングを見計らっての飛び込みからの右一発だけに固執してて、

その他には全く何の引き出しも持ってない単純さで、

これで10勝1敗のランカーなのかって感じしかしなかったんだわ。

 

こうなれば日野君としてはクールに事を進めればいいだけで、

長い右手をアンコウのようにエサ寄せに使って誘って惑わしながら、

シュンって感じで鋭い左ストレートを打ち込んだり、

タイミングをずらせた右フックをブワーンって被せ打ったりしてればOKで、

自分の中では何となく勝負あったなあって感じだったんだよね。

 

 

勿論、日野君陣営としてはそんな余裕は全く無いって感じの必死必死で、

トレーナーはリングエプロンに手を掛けて登ってしまいそうな勢い丸出しで、

それを下から引き止めようとする女性スタッフが、

彼のスウェットをつまんで引っ張っるっていうやり取りが実にとっても可笑しくて、

この辺からしか数えてなかったんだけど、

彼女は試合終了までに実に23回もトレーナーの服を引っ張ってて、

最後の方では彼の足も掴んでたもんで自分は腹がよじれてしまったんだわ。

 

<4R>

中澤さんはムキになってガンガン行くんだけど、

基本的にはとってもやり難そうにしてたもんで、

日野さんとしてはジャブさえちゃんと出してればいいって感じで、

中澤さんは一つ一つのパンチはシッカリしてたんだけど、

一連の攻撃の中に巧いこと組み込むことが全く出来てなかったんだわ。

 

<5R>

力強くはあったんだけど中澤さんのガァーッって感じの突っ込みは解り易くて、

その一段落を待って開始32秒、日野さんの左ストレートがカウンターヒット。

 

自信を深めた日野さんのガードが緩み始めてて若干心配されたんだけど、

中澤さんはパンチをカウンターのタイミング打つことには全く興味がないみたいで、

ひたすら自分のタイミングだけでの腕振りを続けてて、

残り30秒からも特に飛ばしてくるってことも無かったんだよね。

 

<6R>

このラウンドの最初のクリーンヒットは中澤さんの右フックだったんだけど、

単発で終わってしまって、直後の密着戦は日野君に支配されたままで、

頑張る気持ちと体力は大したもんだったんだけど、

技術的に支えられたものではなく当て勘の悪さも目立ってきたんだよね。

 

<7R>

驚くほど簡単に日野君の左ストレートが当たるようになって、

中澤さんは反応的にも劣化が著しいみたいで、

見えてないのかって感じで貰い過ぎてたんだよね。

 

中澤さんは日野君の左ボディを明らかに嫌がるようになってきたし、

残り29秒からの日野さんの追い込みに殆ど危なそうになってしまったんだわ。

 

<8R>

日野君にしてみればランキングゲットがこの日の至上のテーマな訳で、

変な男気を発揮して相打ち覚悟の相手に付き合う必要は全く無い訳で……。

 

最早倒す以外に勝機の無い中澤さんだったんだけど、

思い返してみれば途中からスピードを上げるとか、

手数をアップするとかも無いままの一本調子の馬力だけだった訳で、

流石にここまでくれば日野君にも疲労の色が浮き出てきたんだけど、

中澤さんの方は戦意喪失してしまった感じで、

残り20秒からは緩みっぱなしだったんだわ。

 

 

ってことで、自分は79-72だったんだけど結局、

79-73、78-73、77-74ってことで日野君の圧倒3-0勝ちだったんだけど、

それにしても77-74は相手方に配慮し過ぎじゃないのかなあ……。

 

 

 

⑦ 伊藤雅雪さん(伴流)×グレン・エンテリナ

                     ………60.5㎏ 10R

21勝(10KO)1敗1分のOPBFチャンプ、WBO APチャンプ&、

WBO3位、IBF10位、WBC11位の26歳・東京都と、

11勝(8KO)2敗1分の国内5位、22歳・フィリピン。

 

伊藤さんの肩書は山盛りだなあ……。

 

どうせ伊藤さんにとっては軽い調整試合じゃないかって思ってたもんで、

いつでもすぐ帰れるように北側板席の端に寄り掛かって見始めたんだけどね……。

 

<1R>

エンテリナは戦績通りの如何にもって感じを漂わせてて、

軽くスタートした伊藤さんに最初に右フックを見舞わせていって、

勿論目のいい伊藤さんはそのパンチを逃がしてはいたんだけどヒットはヒットで、

その後もエンテリナは全てが必殺系の鋭く強い腕振りをしてて、

生半可な相手ではないことを見せ付けてたんだよね。

 

彼は手数を沢山出す方では無かったんだけど、

伊藤さんとしても相当心して掛からないと危ないんだよね。

 

これはとても中途半端な姿勢のままでは見れないってことで、

空いてる席を探して腰を下ろしてのジックリ観戦ってことで……。

 

<2R>

エンテリナは積極先攻めとキッチリカウンターの両方を混ぜ込んできて、

格上相手に全く臆することなく最初っから全部出しのフルスロットルで、

伊藤さんの山盛りの世界ランクを真剣に獲りに行ってて、

ダブルジャブも中々素早いとっても危険度の高いボクサーだったんだわ。

 

伊藤さんはそんな相手の動きとお互いの距離を見計らいながらだったんだけど、

一見すると何だか攻めあぐんでるような感じが無いこともなかったんだわ。

 

って見てた1分30秒、伊藤さんの最初のクリーンヒットは右ストレートで、

直撃されたエンテリナは一瞬体を揺らがせてしまったんだわ。

 

伊藤さんはこの後も残り47秒には右ショートフック、

直後の残り41秒には左フックって立て続けにヒットヒットさせてたんだわ。

 

<3R>

お互いの力量というか少なくともパンチ力に対する警戒感がそうさせてたか、

二人からは居合抜きの真剣勝負をしてるような感じさえ漂ってたんだわ。

 

エンテリナは一発喰らうと過激に打ち返していくんだけど、

この辺りに来ると伊藤さんは相手の動きを見極めたようなところがあって、

多少の被弾はしてたんだけど大きな直撃は回避してたし、

左のロングフックなんて新しいパンチも工夫してたんだわ。

 

<4R>

片方のカウンターショットが次の相手のカウンターと交差して、

とってもスリリングな展開が続いたんだけど、

伊藤さんのジャブが更に磨きがかかって相手の顔面に鋭く喰い込んで、

一旦フェイントをかけたところからのそれは相手も防ぎ難いようで、

困ったエンテリナは力を溜めての更なる凶暴ショットで対抗してたんだわ。

 

ラウンド終盤の残り13秒、伊藤さんの右ストレートがガッツンヒットして、

一瞬腰が砕けたエンテリナを勿論伊藤さんは見逃さなくての一気攻めで、

直後に更にワンツーを畳み掛けて西ロープ前で実に豪快なダウンゲット。

 

<5R>

そこそこの直撃度だったにも関わらず、エンテリナはまだ普通に出来てて、

彼の打たれ強さを知らされる思いだったんだけど、

伊藤さんも舞い上がらず再度の冷静な組み立て直しだったんだわ。

 

以前のように相手の打ち込みに対して必要以上にステップバックすることなく、

即の反撃に移れるような距離に留めてたのが自分的には彼の大進歩で成程なあ、

色々ちゃんと練習してたんだろうなあってつくづく思ったんだよね。

 

伊藤さんもいい感じでそこそこ当ててたんだけど、

このラウンドはエンテリナの強打の方を自分は評価したんだけどね。

 

<6R>

エンテリナの方も動きにそれほどの劣化が見られず、

お互いの残りの半分の戦い方が気になったんだけど、

伊藤さんはこのままでいいとして、問題はエンテリナの出方であって、

相変わらず危険度の高いパンチは伊藤さんに集中を求めてたんだわ。

 

って見てた開始58秒、伊藤さんのワンツーが激しくヒットしたんだわ。

 

エンテリナがグラッとなったところからのこの日の伊藤さんは実に物凄くて、

あんな強連打は自分も初めて見せて貰ったって感じで、

無駄のない鋭く的確なショットを相手に反撃する間を与えないほど打ちまくって、

それまでかなり踏ん張り続けてた打たれ強いエンテリナも如何ともし難くて、

耐えて耐えて耐えてたんだけど、ついに最後は西ロープにもたれ掛りながら、

倒れ込んでしまいそうになったところでのストップエンドだったんだわ。

 

 

1分32秒でのTKO勝ちだったんだけど、

今まで自分が見た彼の試合の中では間違いなく極上の最上に近くて、

新人王を争ってた頃のボクシングスタイルから完全に脱却したって、

そういう感じだったんだよね。

 

こういう試合を目の当たりにするとやたら嬉しくなってしまうもので、

それでなくともチャンチャンって感じで簡単に終わってしまうっていう

そういう予想からの嬉しい大誤算だったもんで、

スッと帰る気にもなれず、そのまま30分から40分も居残ってしまったんだわ。

 

伊藤さん本人と団会長とも色々話をしたんだけど、

控室の外にはインタビュー終わりを待って人が20人程も列を作ってて、

伊藤さんに祝福を伝え、握手して一緒に写真を撮って貰おうとしてたんだわ。

 

それらが一段落した後にはエンテリナの一行が訪ねてきて、

伊藤さんと何枚も記念写真を撮ってたんだけど、

みんな笑顔の中、一人エンテリナだけが微笑みを作れてなくて、

悔しさを溢れさせてたんだわ。

 

あんたはいい仕事をしたよって伝えたら、少しだけ笑顔を見せたんだけど、

顔面の傷み方は半端じゃなかったなあ。

 

団会長の奥さんと御嬢さんは二人で静かに廊下のベンチに座って、

ひたすら会長の帰り支度待ちをしてたんだよね。

 

 

 

【本日のベスト3ボクサー】

① 伊藤雅雪さん

② 日野僚君

③ 澤田京介さん

(次)中島珠旗君、辻本純兵君

 

 

*中島君も辻本君ももし昨日の試合で負けてたら、

其々0勝2敗1分と0勝4敗ってことになってしまった訳で、

この先ボクシングを続行するか流石に悩むところだったと思う訳で、

二人共巧くはないんだけどその頑張りは自分の心を打った訳で、

他人事ながら良かったヨカッタってことで……。

 

 

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