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2011年11月21日 (月)

モダンジャズ入門

                                                         

今日はガッツリ音楽ネタだけだから、スル―スル―ってことで……。

                                                           

ここの固定客さん達の中にも、3人ほどモダンジャズファンがいるみたいだし、

それと、これからジャズにとっかかってみたいっていう人がいたら、その人達にもね。

                                                        

                                                          

ジョン・レノンがオノヨーコに取り付かれて、ビートルズが違うとこに行った後、

自然な感じでハードロックに移って行ったんだけど、その限界も見えてきた頃、

今更クラシックって訳にもいかず、それまでも横目で眺めてたとこもあって、

自分、意外にすんなりモダンジャズの世界にのめり込むことできたんだよね。

                                                         

ジャズって一言で言っても、色々ある訳で、1920年前後からその歴史は始まってて、

ディキシーランド→スウィング→ビバップハードバップ→フリー、フュージョンって、

およその流れがあって、そのうちのビバップとハードバップジャズを一般的に、

モダンジャズと称してるんだけど、自分が聞いてるのは、ひたすらハードバップで、

大体1950年から1965年前後までに限られるんだけどね。

                                                           

それと、ビッグバンドとかボーカルものは全く聞かないっていう頑なさなんだわ。

                                                            

自分が欧米のポップスやロックを聴いてた中学生の頃、

レコードはシングル盤が330円で、LPアルバムは1,800円くらいもして、

1ヶ月の小遣い500円だったもんで、シングル盤1枚買うと、手元に殆ど残らなくて、

で、LPなんかは誕生日とか、クリスマス、正月にしか買えなかったんだよね。

LPはステレオが基本だったけど、シングル盤はモノラル録音だったんだよ。

                                                        

CDとか i-pod だと、音源が劣化するって心配しないで聞けるけど、

レコードだと、針落とすとその度に確実に劣化するもんだから、

流し聞きみたいなことは勿体なくて、とてもできなくて、

一回聞くのにもとっても集中して、何も聞き逃さないぞみたいな覚悟あったんだよね。                                                              

で、異常なほど音楽を真剣に聞くって習慣が身に付いてしまったんだと思うんだよね。

                                                          

ピアノのタッチだとか、ベースラインだとか、バスドラのタイミングだとか、

リード楽器とバック楽器とのバランスだとか、音程だとか、リズムとか、

ハーモニーに対しても、自分の興味は尽きなくて、

他の人が気が付かないような、演奏者のミスなんかもよく聞き分けてたもんなんだわ。

                                                         

自分がジャズに傾いていった頃は、そろそろアルバイトで稼ぐこともできたもんで、

やっとこさ、LPレコードにも手を出すことができるようになって、

だって、ジャズっていうのは相対的に演奏時間が長いもんで、

シングル盤のジャズレコードってのは存在してなかったんだよね。

                                                           

そのLPレコードにしても、いろんな価格帯があって、

当時のマスターテープが元々モノラルのモノもあったもんで、そういうのは1,500円、

で、普通のステレオLPは1,800円だったんだけど、2,000円、2,200円とか、

2,500円ってのまであって、もう訳分かんなかった記憶あるんだよね。

                                                          

                                                           

現代のヒットソングってのは、歌い手や演奏者のビジュアルがとても大事になってて、

音楽そのものも、メロディーとかハーモニーが軽視される傾向の中、

ビートというか、とにかくリズム最偏重で、全体通じて音量もほぼ一緒で、

イコライザーの波形もズーッと同じなんだよね。

                                                           

いつの時代にも流行り歌は時代を反映してると思うんだけど、

自分、いまだに50年前を引きずってるんだよね。

                                                          

今の音楽は電車の中での i-pod でも充分聞けるんだけど、

ジャズってのは音量の変化がとっても大きいから、電車の中で聞くのは殆ど無理で、

音の奥行きとか広がりや、演奏者の立ち位置まで目に浮かぶようにするには、

やっぱり、基本的に静かなとこで聞く必要があるし、

結局、そこそこのオーディオ装置が要るのかも知れないんだよね。

                                                          

                                                         

コツコツ買い揃えたジャズレコードは最終的に2,500枚ほどになったんだけど、

ある時ふと気が付いて、2,500枚ってのは毎日必ず1枚づつ聞いたとしても、

全部聞き通すのに7年近くかかるってことで、こりゃコレクターの弊害丸出しだわって、

ある時期にレコード集めを止めたんだけど、その後新しいモノ聞かなくちゃって、

結局、そういう風にはならなくて、そうなんだわ、自分の中のモダンジャズ、

1965年頃には終わってるんだなって、そういう思いは今でも変わんないんだよね。

                                                              

で、自分が話せるモダンジャズってのも、その時期に限られるんだけど、

そういう前提で、とっかかりになるようなアルバムを紹介させて貰いますね。

                                                             

ロックが好きな人には意外に受け入れやすいんじゃないかって思うけど、

まず、変に凝り過ぎてなくて普通に聞き易くて、音質的にもいいモノ優先でね。

                                                             

楽器ごとに分類する方が分かり易いし、アプローチもしやすいと思うから、

そんな感じで、各楽器厳選一枚づつってことで……。

                                                            

                                                             

【ピアノ】……デイブ・ブルーベック “タイム・アウト”                                                 

この中の、“テイク・ファイブ” は、CMで使われたこともあったし、とっても心地いいよ。

                                                           

ポール・デスモンドのアルトサックスは、あくまで強く吹かない微妙なトーンで、

穏やかで自然な落ち着きが堪んないんだわ。

                                                          

それと、ドラマーのジョー・モレロってのが、抜群の変則リズム刻むとこが聞きドコ。

                                                           

リーダーのデイブ・ブルーべックってのは、驚愕テクの持ち主ではないんだけど、

オーソドックスな大人のピアノを聞かせてくれるんだわ。

                                                             

1959年録音。

                                                             

                                                         

【オルガン】……ジミー・スミス “ハウス・パーティ”

ジャズオルガンって言えば、誰も異論のないこの人がワン&オンリー。

                                                             

彼、楽譜が読めないんだけど、音楽のクオリティーには全く関係なくて、

そのスウィング感というかドライブ感に圧倒されるんだわ。

                                                        

カーティス・フラーとかケニー・バレルとかのサイドメン達のデキもいいし、

とにかく、とにかく、ハマるんだよなあ。

                                                           

1957年~1958年録音。

                                                           

                                                            

【アルトサックス】キャノンボール・アダレイ “サムシング・エルス”

いつもは走り過ぎる傾向の強い、キャノンボール・アダレイとアート・ブレイキ―が、

マイルス・デビスの威光の前に実に抑制の効いた、知的なプレイするとこが聞きドコ。

                                                        

今の時期 “枯葉” が心に沁みるし、スタンダードをアレンジしていく過程が分かって、

勉強になるっていうか、成程ねって、ジャズの面白さが伝わって来るんだわ。

                                                          

1958年録音。

                                                           

                                                            

【テナー・サックス】……ソニー・ロリンズ “テナー・マドネス”

自分にとってのテナーサックスのアイドルは、今でもジョン・コルトレーンで、

一時は海賊版含めて80枚以上のLP持ってたんだけど、

ここはまず聞き易いとこからってことで、ロリンズがお薦め。

                                                         

巨星ジョン・コルトレーンも参加してるし、

レッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズって、

“ザ・リズムセクション” って呼ばれてる三人の参加で安定感抜群。

                                                           

管が裂けるんじゃないかって程のゴリゴリテナーで有名なロリンズなんだけど、

意外なほど繊細だってのが分かるし、同じテナーでもコルトレーンと比べると、

随分音質が違うのも興味深いんだよね。

                                                            

1956年録音。

                                                         

                                                           

【トランペット】……マイルス・デイビス “フォア&モア”

マイルスはトランペットっていうか、モダンジャズ界の帝王って言われる存在で、

自分、60タイトル以上聞いてるけど、そりゃミュートプレイとかモードとかも凄いけど、

ジャズの爽快さと迫力を単純に満喫できる一枚がこれ。

                                                           

ニューヨークでのライブ盤なんだけど、マイルスの全力オープンプレイにタマゲルし、

まだ20才になるかならないかのトニー・ウィリアムスのスティックワークも聞きモノ。

                                                          

1964年録音。

                                                              

                                                          

【トロンボーン】……カーティス・フラー “ブルースエット”

もともと音が茫洋としてて、音程も不安定になりがちな楽器なもんで、

始めの頃はあまり好きではなかったんだけど、年月経るにつれ、

その茫洋とした曖昧さが気持ち良くなっていったんだわ。

                                                            

この楽器の第一人者はJ・J・ジョンソンだと思うんだけど、

ここは、テナーサックスのベニ―・ゴルソンとのハーモニーが極上のこの一枚。

                                                            

特に、“ファイブスポット・アフター・ダーク” が超お薦めで、

これ聞いて気持ち良くならないなら、ジャズは諦めた方がいいって思うほどだよ。

                                                            

1959年録音。

                                                             

                                                             

【ギター】ウェス・モンゴメリー“ザ・インクレディブル・ジャズギター”

ギターは大好きな楽器なもんで、誰にするか、どれにするか迷うんだけど、

やっぱり、1960年録音のウェス・モンゴメリーのこの一枚になるかなあ。

                                                           

リズムセクションはトミー・フラナガン、パーシー・ヒース、アルバート・ヒースって、

俺が俺がって感じの全くない、抑制の効いた大人達なもんで、

心おきなくジャズギターが聞けるんだわ。

                                                         

イフェクター類を全く使わない、ギブソンのオリジナルサウンドを満喫できるよ。

                                                            

                                                           

【ベース】……ポール・チェンバーズ “ベース・オン・トップ”

この時代のベースは勿論ウッドベースで、音量の大小はプレーヤーにかかってたし、

弦と指の微妙な触れ具合まで聞こえてきて、ジャズベースはホント、いいんだわ。

                                                           

彼、繊細さっていう点では足りてないんだけど、とにかく剛腕一発、どうだあって、

そういう場面になったときの彼に敵うベーシストっていうのはいないんだよね。

                                                             

1957年録音。

                                                         

                                                             

【ドラムス】……アート・ブレイキ― “モーニン”

いつもちょっとファンキーに行き過ぎる傾向の強い彼なんだけど、

これは単純に元気貰える一枚で、発売当時、蕎麦屋の出前持ちも口ずさんでたって、

そういう逸話も残ってて、ジャズへの間口広げた功績もあるんだよね。

                                                            

トランペットのリー・モーガン、ピアノのボビー・ティモンズ達のノリもとても良くて、

気持ちよさそうにやってるのが、ホント、目に見えるようなんだわ。

                                                            

1958年録音。

                                                                  

                                                          

【ジャズコンボ】……MJQ “ラスト・コンサート”

それぞれがリーダーに成り得るし、実際リーダーアルバム出してるんだけど、

固定したメンバーで活躍してたグループもあって、その中の代表バンドがMJQ。

                                                           

“モダン・ジャズ・カルテット” ってそのままなんだけど、

とにかく一度、ヴィブラフォンのミルト・ジャクソンを聞いてみてよ。

                                                            

彼らの解散コンサートのライブ録音盤なんだけど、もうこれが最後だって、

そういう気持ちに溢れてるのが伝わって来て、感動するんだわ。

                                                           

ピアノのジョン・ルイスは、いつもながらのクラシカルなアプローチを崩さず、

ドラムスのコニー・ケイの多彩なシンバルワークもとっても上品だし、

ベースのパーシー・ヒースも哲学的なフレージングを奏でてるんだけど、

三人共、気持ち高ぶりそうになってタッチが強まりそうになるとこ抑え込んでる中、

一人、ミルト・ジャクソンだけが奔放な感情を抑え切れなくなって、

思わずハレ―ション起こすほど叩きまくってる場面との対比も面白いんだよね。

                                                         

ずーっと昔、アメリカ出張した時、セントラルパークでの最初の朝、

カセットウォークマンから初めに流れた曲が “朝日のようにさわやかに” なもんで、

個人的に思い出深いんだけど、そういうの抜きにしても、

彼らのアルバムの中でも、秀逸だって思ってるんだよね。

                                                           

1974年ライブ録音。                                                   

                                                          

                                                                                                                   

                                                          

                                                           

今日のブログ、一体何人が全部読み見通してくれたかっていうのについては、

大いに疑問あって、奥さんさえスル―だとは思うんだけど、

取り敢えず、自分のアイデンティティーに関わることだと思ってるもんでね。

                                                          

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