黒木健孝さん……。
去年の9月末、世界戦に敗れた直後から、彼のブログずっと更新されなかったもんで、
11月頃かなあ、ホールで岩本会長にお目にかかった時に、
黒木さん、どうしてます? 練習再開してますか? って聞いたら、
うーん、気持ちが維持できるかなんだよなあ、みたいなこと言ってたんだけど、
久し振りの更新、1月16日付けのブログ見たら、やっぱり引退なんだってね。
黒木さんと初めて話したのは、もうズーッと前のことで、
試合観戦の後、人に溢れた総武線の中、自分の突然の話かけにも、
彼、例のあの笑顔で、とっても丁寧に応対してくれて、感激したというか、
いっぺんにその人間的な魅力に取り込まれてしまったんだわ。
上野駅での別れ際、彼はホームに立って、自分に頭下げてくれたっけなあ。
彼の全盛時はホント凄くて、一瞬のポジション移動に相手がついて来れなくて、
いきなり左横から、左フックブチ込むと、瞬間で倒れてたってことよくあって、
あの頃の動きとパンチのキレ、飛び抜けてたんだよなあ。
その後も彼、ホールですれ違うたびに、あの笑顔で接してくれたし、
角海老にスパーリングに来た時も、混みあったボクサー達かき分けて、
コンニチワって声掛けに来てくれて、自分、彼の試合そのものと同時に、
普段の彼に惹かれる事の方が多かったような気がするなあ。
彼の試合で、自分が一番心に残ってるのは、数々のタイトル戦ではなくて、
2009年の夏頃、大内淳雅さんとやった8回戦なんだよね。
それもその試合の後の出来事が、とっても印象に残ってるんだわ。
当時、黒木さんはOPBFチャンプで、この試合にタイトル掛ってなかったんだけど、
絶好調の若武者が、どれだけ黒木さんを困らせるかってのが興味深かったんだけど、
黒木さん、余裕のパフォーマンスで、圧倒3-0勝ちしたんだわ。
その試合直後、検診終わってシャワーから出たばっかりのとこで、
偶然、廊下で黒木さんに行き合った時、自分、突然思い立って、
試合のこと、大内さんと話してやって貰えないかって頼んだら、
黒木さん、ホント気さくに、いいですよって言ってくれて、
で、人気のない控室で、二人ともパンツ一丁で、自分入れて三人で、
およそ20分位の間、今終わったばかりの試合の反省会したんだわ。
位置の取り方とか、パンチの強弱、攻め時の判断なんかが中心だったんだけど、
その押しつけがましくない話し方が心地良かったんだわ。
大内さん、直立不動で、寡黙な方だから、代わりに自分が色々質問したんだけど、
その一つ一つに、偉ぶらずに丁寧に答えてくれて、大内さんのことも褒めてくれて、
最後、二人の両手握手で終わったんだけど、あれはホント、感動的だったんだわ。
で、自分の中での黒木さんってのは、試合でのパフォーマンスよりは、
試合以外での彼のフレンドリーなイメージの方がとっても強く残ってるんだわ。
さっき、彼の勤めてるラーメン屋さんに電話してみたら、
黒木さん、まだ勤めてるってことだったもんで、一度行ってみようと思ってるんだよね。
土浦駅から、歩いて15分ほどのとこにあるらしいんだけど、
別に黒木さんの居る時でなくてもいいって思ってて、
そおかあ、ここで働いてんのかあって感じに浸りたいと思ってさ……。
黒木さん、あなたのボクシングとか、あなたの人柄とか、
沢山の人達の心の中に、あなたは居続けると思いますよ。
これからの新しい生活、とにかく、元気に楽しくやって下さいね。