後楽園ホール・7月1日
“招聘禁止外国人一覧” っていうのがあるの知ってる?
勿論、ボクシング業界でのことなんだけど、最近、JBCがそのリスト更新しててね、
眺めてると、なかなか面白いんだわ。
そこには、もう呼んじゃダメぞーってボクサー達、名指しされてんだけど、
その招聘禁止理由ってのが、結構面白くってね。
理由の一番は、当然というか予想通り 「無気力試合」 で、これが圧倒的で、
次が 「オーバーウェイト」、その他、ちょっと笑っちゃうのもあって……。
「実力不足」
「演技的行為」
「戦績詐称」
「リングネーム詐称」
「全身入墨」……だってさあ、なんも確認しないで呼んでんのかあって感じでしょ。
連中の出身国、インドネシアがチョロッといて、あと90%以上は、勿論、タイ王国。
彼らの名前、ややっこしくて、憶えられらないってとこ突いて、
ヘアスタイル変えて、戦績改ざんして、そんで、ちょこっと名前変えて、
ハイ、一丁上がりーだってさ。
昨日の後楽園ホールの開始時間、いつもより30分早い5時半で、
それ、ヤマグチ土浦ジムが、地元からの応援者の帰宅に配慮したんだよね。
全部で9試合組まれてて、そのうち何と8試合がKO決着だったんだけど、
唯一の判定試合が井上庸さんていうんだから、ちょっと予想外。
とにかくこの日は、あんまり早い回にバタバタ倒れてしまうもんで、
どんなボクサーなんだか見極められないってのが、多かったなあ。
◆佐藤孝洋君(ランド)×人見正浩君(横浜さくら)……Fe 4R
デビュー戦の28才・宮城県と、デビュー戦の30才・神奈川県。
チョット見、強そうなのは、明らかに人見君の方で、
やっぱりゴングと同時にフル回転、ブンブン振りまわして、それがいきなり当たって、
佐藤君、しゃがみ込みダウンしてしまったんだけど、
火吹いたように舞い上がってしまった人見君、何と倒れ込んでる佐藤君を加撃して、
2ぺナ、佐藤君には1分間の休憩で、場内、いきなり何だこりゃあ、って感じ。
ということは、これでチャラなんだなって思って見てたら、
再開後、佐藤君もダメージ残しながらも、コノヤロ、コノヤロって感じで、
リング上は、中学生のケンカ状態に突入して、物凄いことになってしまって、
次の瞬間、佐藤君の勝手に出した右、直撃して、今度は人見君がダウン。
何とか立ち上がって、再びケンカ始まったんだけど、
すぐ後、人見君、また倒されてしまって、ここでエンド。
1R、1分25秒間の狂乱から、この日は始まったんだわ。
◆岨野豊君(T&T)×猿渡裕之君(沼田)……F 4R
2勝3敗の28才・三重県と、2勝(2KO)4敗の33才・東京都。
倒れはしなかったんだけど、始ってからずーっと、猿渡君、殴られっ放しで、
全く、試合にならないもんで、1R、2分頃、レフェリーストップ。
どっか体調悪かったな、絶対。
◆木村勇樹君(極東)×舟木隆太君(協栄)……L 4R
2勝(1KO)5敗の26才・岐阜県と、3勝(1KO)1敗1分の22才・大阪府。
サウスポーの木村君、こんな戦績のボクサーには見えなくて、結構スピードあるし、
いきなりの右とか、コンビネーションも華麗で、交わしざまっていうのも打てて、
1R、残り15秒ほどのとこで、力のこもった綺麗なワンツーでダウンゲット。
なんか、この左ストレートで、決着しそうだなあ。
2R、舟木君、それほどのダメージ残ってなかったんだけど、
それでも、いかにも当て勘悪くて、こりゃシンドイぞお、って見てたんだけど、
南側観客席から、女性の声で、「隆太ーっ、頑張れ―!」 って声援飛んだ直後、
リング中央で絡み合った途端、アッパー気味の左フック炸裂させて、
何とそれ、大直撃で、木村君、ブッ飛ばされて、仰向けバッターンダウンで、
それ一発で、ノーカウントストップ。
残りあと、30秒ほどのとこだったんだけど、
ボクシングってのは、ホント、分かんないもんだね。
あの声援、母親かなあ、彼女なのかなあ……。
◆苦瓜一斉君(ヤマグチ土浦)×八木一男君(国分寺サイトー)
……51.5㎏ 4R
2勝1敗の27才・沖縄県と、1勝4敗1分の26才・京都府。
苦瓜君、要するにゴ―ヤ君ってことで、憶えやすいね。
彼、結構力込めてるんだけど、荒っぽいボクシングで、体と手がバラバラで、
全身隙だらけなんだけど、その隙狙われないようにか、手数だけは多いんだわ。
一方の八木君、苦瓜君と同じか、それ以上に、手が体から離れ過ぎで、
とにかく、それで疲れないかってほど振りまわすんだけど、ロス多くて、
たまにいいボディ打つんだけど、上への攻撃に繋がらなくて、
残念ながら、相手にダメージ与えるまでにはいかないんだよなあ。
最終4Rに入ると、思ってた通り、消耗戦の様相になってしまったんだけど、
スタミナ残ってるのは、間違いなく苦瓜君の方だったし、
それまで八木君、延々トコトコ打たれ過ぎてたしってことで、レフェリーストップ。
八木君、あんなに振りまわしたら、そりゃ最後まで持たないから、
この次は、もうちょっとセーブして、ラウンド配分考えた方がいいと思うな。
◆橋爪優司君(厚木平野)×鈴木義行君(マナベ)…62.0㎏ 6R
3勝(1KO)6敗2分の30才・北海道と、3勝(1KO)2敗2分の30才・埼玉県。
戦績だけ眺めると、鈴木君圧勝するのかなあ、って見てたんだけど、
ボクシングになってるのは、橋爪君の方で、
鈴木君、初めから、もう力み満々、入れ込み、突っ掛け重戦車って感じの、
全くの相撲ボクシングなもんで、橋爪君、嫌気差さないかなあって……。
どういう風にポイント付けたらいいか迷うような、延々グズグズ、ダラダラが続いて、
それでも、橋爪君、キレずに真面目に付き合って、
4R、1分半頃、ガツンと寄り合ったとこで、右ショートストレート打ち込んだら、
鈴木君、思わずのダウンで、その後の追撃で、残り40秒ほどのとこで、
レフェリーストップ勝ち。
◆高橋竜也君(ヤマグチ土浦)×井川政仁君(角海老)…B 8R
8勝(4KO)2敗の21才・茨城県と、10勝(3KO)5敗1分の25才・熊本県。
やっぱA級は違うわあって、いきなりホントのボクシングらしくなったね。
高橋君、スピードもあるし、バランスもいいし、いいボクサーなんだよなあ。
一方の、井川君も、正統派の綺麗なスタイルのボクシングなんだけど、
この日は、ちょっと元気ないというか、動きに今一つ精彩なかったなあ。
そうなると、ペースは高橋さん先行で、彼、元々自分のリズム作るの巧いし、
左のトリプルジャブとか、コンビネーションとか、いいんだよなあ。
高橋君、一瞬、木村章司さんみたいな印象なんだけど、パンチ出しの時、
ちょっとアゴ出るようなとこあるんだけど、動き早いもんで、狙えないんだよなあ。
それでも、井川君も、負けてない早い動きと、連打の中から一瞬の隙突いて、
いいのを打ち込んでってるもんで、スリル満点の攻防続いて、
2Rには、高橋君の顔面も徐々に紅潮していったんだわ。
この二人のレベル高いハードな主導権争い、実は3R、あっけなく終わってしまって、
ホントは、もっと見ていたかったんだけど、
まず、井川君が、そこそこの左ブチ込んで、ポイントゲットした直後、
勢い付けて、更に攻め込もうとしとした途端だったんだけど、
高橋君、それ待ってたかのように、物凄くキレのいい、ワンツー打ち込んだんだわ。
あまりの直撃だったもんで、井川君、その場にグニャっとダウンしてしまって、
カウントエイトで、何とか立ち上がりはしたんだけど、ダメージ大きくて、
南側ロープ沿いをフラフラしてて、再開不能で、結局、カウントアウトのKO決着。
井川君、ちょっと足元不安というか、もっといい動き出来るボクサーなんだけどなあ。
それにしても、高橋君、リズム感と当て勘抜群で、これから強くなると思うなあ。
◆インドネシアンⅠ×岩渕真也君(草加有沢)……L 8R
5勝(3KO)2敗2分の21才と、13勝(11KO)3敗の24才・埼玉県。
岩渕君を、こんな相手に使うってのは、とっても勿体ないんだよなあ。
結局、左ストレート二発で、二回倒してのストップエンドで、1R終了ギリギリ決着。
◆井上庸さん(ヤマグチ土浦)×インドネシアンⅡ…?㎏ 8R
15勝(10KO)1敗2分の28才・茨城県と、12勝(6KO)2敗の29才。
相手のボクサー、全体に細い分、手足長くて、ちょっと雰囲気あって、
なんか、そこはかとなく、いい試合になりそうな予感してたんだけど、
それにしても、井上さん、頭デカイなあ。
1R、相手、青コーナーに下がり気味なとこ、井上さんの右ストレートが伸びて、
相手、あえなくのダウンで、早や早や決着も見えてたんだけど、
あと1分半はあったんだけど、詰め切れずに、その後はダラダラ、
結局、最終ラウンドまで、延々詰め切れずに、ちょっと消化不良の試合だったな。
確かに、相手の、変なタイミングで出て来る外側からの大振りフック、
ちょっとやりにくかったとは思うし、ガードも堅かったんだけど、
相手の動き、見極めた後の井上さん、圧倒的に荒っぽくなってしまって、
どっちかというと雑な感じにさえなってしまったんだわ。
相手は、井上さんのパンチ出しに合わせたり、打ち終わり狙ってんだから、
誘いパンチ出したり、捨てパンチ使ったり、フェイントもアリだと思ったんだけど、
自分の都合だけのボクシングに終始して、結局一本調子になってしまって、
最後まで致命弾ブチ込むこと、できなかったんだよなあ。
で、結局、80-71、80-72×2っていう、勝っても、なんか照れるような判定。
そこはかとない、いい試合の予感は、どっか行ってしまったな。
井上さん、元々不器用な剛腕ファイターなんだけど、
あの真っ直ぐなボクシング好きなもんで、もっと強くなって欲しいって思ってるもんで、
もう少し、攻撃のアイデアというか、引き出し増えるといいなあって思ってるんだよね。
◆黒木健孝さん(ヤマグチ土浦)×榎本信行君(三迫)
……48.9㎏ 8R
23勝(15KO)4敗1分の28才・長崎県と、18勝(3KO)8敗4分の36才・埼玉県。
ホントは、この試合見るつもりなかったんだけど、ちょっとだけって思ってたら、
ホント、ちょっとだけで終わってしまって、3R、TKO決着で、勿論、黒木さん。
ゴング鳴った途端から、もう殆ど試合になってなくて、
榎本さん、いよいよ止め時に近付いてる年令なもんで、
最後に一花咲かせるつもっりで、突っ込んで行くのかなって思ってたんだけど、
突っ込んでったのは、黒木さんの方で、榎本さん、黒木さんの周り、延々廻ってた。
黒木さん、明らかな格下に、手間取ったら問題あるってことで、
明らかに雑な攻撃に終始して、とにかく早目にブッ倒すってなってしまって、
お互いに、こういう試合するのは良くないなって、シミジミ思ったな。
榎本君とこのジム関係者、いつもだったらリングサイドで声援送るんだけど、
この試合、離れた席で黙って眺めてて、ホント、可哀想なマッチメイクだったよ。
電車の中、前に座ってた、ボサボサ頭で、化粧っ気のない50がらみのオバサン。
三つも持ってる古びたトートバックの一つから、取り出したのが、なんと、i-Pad。
タマゲタなあ。