後楽園ホール・12月8日
いわゆるリバプールサウンズが、押し寄せる前まで、
アメリカは、いわゆるロリーポップミュージック全盛で、健康的で、可愛いアイドル達が、
幸せ一杯のハッピーミュージック、ニッカニカしながら歌ってたんだけど、
パット・ブーンは、その頃の大スターで、今日の一曲は、“Love Ltters In The Sand”。
邦題、“砂に書いたラブレター” っていうんだけど、聞いたことあるかな。
パット・ブーンと同じような路線の男性の歌い手は、当時他に、
ボビー・ダーリンとか、ポール・アンカ、リッキー・ネルソン、ニール・セダカ、
ジョニー・シンバル、ボビー・ヴィントン、ブライアン・ハビランド、ジョニー・ティロットソン、
なんかがいたんだけど、それから、彼らとは一線引いて、よりロック寄りな歌手に、
ジーン・ピット―、エルビス・プレスリー、デル・シャノンとかもいたんだけど、
あの、いきなりのビートルズ旋風に、両派ともというか、
とにかく全てが、一瞬で、吹っ飛ばされてしまったんだわ。
当時、パット・ブーンが言ったんだってさ。
“俺も、ビートルズに入れて貰えないかなあ……。”
自分、特別の現場主義ではないから、テレビでやるんなら、
こんな頻繁にホールへは行かないんだけど、仕方ないな。
そして、ワクワクは、いつ訪れるか分かんないから、第一試合からが基本だね。
ただ昨日の初めの方の4回戦、期待外れが多くて、何だかズルズルなのや、
イデタチだけで終わってるのや、もともと殴り倒そうって気概がないのとか、
各ラウンド1分過ぎると、途端に動きが鈍る同士とか、またズルズルが出て来て、
正直、ちょっと散々だったんだわ。
次のA級戦のうち、稲垣孝さんの8回戦と、長瀬慎弥さんの10回戦も、
もう、ホント詰まんなくて、食事に行ったんだけど、二人とも延々フルラウンドやって、
タイ人と違って、流石にフィリピンは頑張るねってか、って感じで、
帰って来てもまだやってて、お陰で、ファイナルが終わった時、10時5分前で、
申し訳ないけど、稲垣さん、何でこの位置にいるかって、とても不思議で、
確か、ピーク過ぎた藤田和典さんとやってランク取ったんだと思うけど、その後も、
今の他のランカーの誰とも試合してなくて、実力全く見えてこないなんだよなあ。
長瀬さんも、同じフィリピンボクサーに苦戦した試合後のインタビューで、
リング上から、小野寺さんと亀海さんに、宣戦布告してたけど、
昨日の感じだと、完璧、子供扱いされると思うなあ。
初めから終わりまで、全く踏み込みがダメで、パンチの90%以上が空振りで、
以前は、このクラスにしては、恐ろしいほど出入り素早くて、タマゲタもんだけど、
もう、普通の当て勘の良くないボクサーにしか見えなかったんだよね。
◆山崎武人君(本多)×涼野康太さん(五代)………Fe 8R
9勝(2KO)8敗の27才・千葉県と、16勝(5KO)10敗3分の28才・埼玉県。
涼野康太さん、入場曲、うまくいかなくて、CDブツブツに音飛びしてて、
気の毒だったけど、相変わらず、前向き、過激なボクシングで嬉しくなるね。
彼、戦績だけ見ると、3勝2敗ボクサーではあるんだけど、もう相手激烈でね、
この負け数、勲章みたいなもんだって思ってるんだわ。
何しろ、矢代義光さん、宮田芳憲さん、澤永真佐樹さん、阿部元一さん、
渡邉一久さん、三浦数馬さん達だからね。
それでも、7位のランク入って来てるんだから、エライよなあ。
一方の山崎さん、ちょっと不本意な1勝1敗ペースで、これまでの有力相手といえば、
竹内佑典さんと笛木亮さんくらいなもんで、ここはちょっと厳しいかなって……。
結局、優しい風貌の突っ掛け屋の康太さんに、終始プレス掛けられっ放しで、
距離取ってやりたいのに、ことごとく潰されて、体格的には断然優位なのに、
たまに当てるストレートも下がりながらなもんで、威力半減だし、とにかく、
自分からは何もできないで、手も足も出せないままの3-0負け。
80-73、78-74、78-76って随分バラツイタもんだけど、
これは、山崎君の下がりながらのパンチに対する評価が分かれたんだろうな。
歴戦の勇者に対し、山崎君、もっと自分から仕掛けないと、ランク、取れないと思うよ。
この日のカウンター作戦は、完全に失敗したけど、一度、無茶振りするとこ見たいな。
◆和田峯幸生さん(筑豊)×家住勝彦さん(レイS)…OPBF LF統一戦 12R
25勝(19KO)3敗1分の28才・福岡県と、26勝(19KO)7敗3分の29才。
二人とも良く似た戦績なんだけど、特筆すべきは、このクラスでの二人のKO率。
和田峯さん、66%で、家住さん、53%っていうんだからね。
この試合までが、実に長かったんだけど、最後の最後でいい試合、見ることできたね。
こっちはもう、初めから緊張感満々だったんだけど、和田峯さんも力入ってたなあ。
それに比べると、家住さん、何かクールで、心静まりかえってるようだったな。
1R、ゆったりした動きからの、突然飛び込みさま、左ストレートだったよなあ。
家住さん、和田峯さんの胸から上腹部にかけた場所に、ブチ込んだら、
和田峯さん、北東のニュートラルコーナーまで吹っ飛んでしまって、いきなりダウン。
プッシングなのかとも見えたもんで、レフェリー、一瞬戸惑ってたけど、
リングサイド役員の合図のダウン宣告で、和田峯さんも抗議してなかったな。
出会い頭の一発だったけど、胸に近いとこだったもんで、
それほど効いてる様子、なかったんだけど、家住さん、ここでラッシュかけて、
東側のロープに詰めて、今度はショートの連打放って、3発目の、またもや左が、
今度は和田峯さんの顔面、直撃して、この回2度目のダウン。
残り20秒ちょっとのことだったもんで、3回目の心配したんだけど、
何とかゴングに救われて、でも、でも、早目の決着かあ、って思ってたんだわ。
和田峯さん、現物見るの、4~5年ぶりの、自分にとって、幻のボクサーなんだけど、
初回に大ハンデ抱えたにもかかわらず、肩ますますいからせて、挽回にかかって、
ダメージ全快してるわけでもなくて、少しバランス崩しやすくなってんのに、
ブンブン、必殺の左右大フックかましながら、ガンガン、プレスかけていったんだわ。
和田峯さんの根性系の激闘ボクシング、目付きにも表れてたんだけど、
残念ながら、何ぶん攻めが単調で、力任せのワンツー主体になってしまって、
家住さん、上体柔らかく使って、押し込まれても、余裕のアッパー出してくるし、
とにかく、内側からパンチ出すの抜群に巧くて、その度に、和田峯さん、顔上がって、
なかなかポイント奪い返せない、っていうラウンドが続いたんだわ。
実は2R、家住さんの方も、鼻血に見舞われてしまって、次に5R、今度は、
和田峯さんも鼻血吹き出てきて、二人とも、それからレフェリーのシャツも、
もう血まみれになっていったんだわ。
5~7R、相変わらず、和田峯さん、プレス掛けていくんだけど、
そこからのアイデア欠けてて、かえって、カウンター喰らってしまったりして、
家住さんの方は、左のダブルなんか打つ余裕出てきてるし、
流れ、なかなか変わらなくて、8R終了時でのスコア、オープンになると、
予想通り、もう倒さなければ、和田峯さん、勝ち目ないってとこまで差が残ってて、
9R、家住さんの鼻血はまだ続いてたけど、和田峯さん止血できてて、
ブンブン、力込めて振ってるのが目に見えて、倒しに行く、行く。
10R、残り30秒ほどのところで、二人のパンチが3~4発交差した時、
やっとこさ、和田峯さんの左が、直撃して、家住さん、ガクッて腰砕けになって、
前のめりになりながら、和田峯さんにつかまって、ホント一瞬危なくなったんだわ。
そして、これ以降、明らかに、家住さん、極端に手数が減ってしまって、
勢いづいた和田峯さん、ここぞとばかり、攻めに攻めるんだけど、
家住さん、無理に行かなくなって、行けなくなってたのかも知れないけど、
正面切った殴り合いに持ち込めなかった分、大きなポイント、流れていかなくて、
結局、118-108、116-111、116-112の3-0で、家住さんの勝ち。
家住さんの飛び込みざまの、左ショートフックとか、パンチの緩急とか巧かったけど、
でも、和田峯さんの勝負根性、凄くて、久し振りに、激闘、ワクワクしたなあ。
リングサイドには、こういうポイントになる試合、必ず来る、黒木健孝さんがいたね。
彼、土浦から通って来るんだよなあ、エライよなあ。
それから、坂本博之さん、何故か来てたね。